冷え性と冷え症
「冷え性」は主に西洋医学的な考え方で用いられ、「冷え症」は主に東洋医学的な考え方で用いられます。
2つの言葉はほぼ同義で症状の大きな違いはありません。ここでは「冷え症」の表記に統一して話を進めていきます。
冷え症について
冷え症は検査で異常がみられる病気とは異なるため、「自覚症状」が主体となりますが、
- 男性:4割
- 女性:8割
の人に自覚症状があると言われています。
女性に冷え症が多い原因
筋肉量の少なさ
人間の身体は主に筋肉によって熱を産生しています。また、ポンプのように筋肉を収縮させることで、全身に血液を循環させて身体を温めています。
女性は男性よりも、筋肉量が少ない場合がほとんど。熱産生・ポンプ作用が弱く、末端へ血液を運びにくいため、特に手足など末端に冷えを感じやすいのです。
ホルモンバランスの乱れ
女性には
- 月経
- 出産
- 閉経
など男性にはない身体の変化があり、ホルモンバランスが乱れやすい傾向にあります。
ホルモンバランスが乱れることで身体の体温調整機関である「自律神経」が乱れ、冷え症を引き起こしやすくなります。
個人差はありますが、
- 生理中
- 更年期(女性ホルモンが急激に低下)
に冷え症が悪化する場合もあります。
ストレス
人の身体はストレスを感じることで交感神経優位な状態になり、自律神経のバランスが乱れます。
日常生活を送る上で
- 仕事
- 家事
- 育児
などから感じるストレスをゼロにすることは困難です。
また、交感神経優位の状態は身体の緊張状態、つまり血管が収縮状態となり、末梢の血流を阻害して冷え症を招きます。
生活習慣の乱れ
人間が健康を維持するための理想的な体温は「36.7℃」と言われています。 しかし、現代社会では
- 昼夜逆転の生活
- 夜更かし
- 食生活の乱れ
- 朝食を抜く
- スマホ・PCの見過ぎ
- 夜まで明るい街
その他にも、季節に沿わず
- 夏場のエアコンの効きすぎ
- 冬でも薄着で過ごす
など、自律神経の乱れを引き起こす原因が多く、平熱が36℃を下回る人も少なくありません。
基礎体温が低下することで、末端の体温が上がりきらず、慢性的に冷えを感じる原因となるのです。
冷え症の症状
冷え症の症状には幅広い個人差があり、手先や足先に「冷えを感じる」程度の軽度な症状から、冷えの部位の「こわばり」や「痺れ」など、日常生活に支障をきたすような重度の症状を感じる場合もあります。
重症になる前に病院(東洋医学的な症状のため漢方医や鍼灸院などがおススメ)を受診しましょう。
冷え症のタイプ
東洋医学的にみた冷え症のタイプ
医学に近い見地で使われる症状が多いのが東洋医学的にみた冷え症のタイプです。
タイプ | 主な状態 |
瘀血(おけつ)タイプ | 血液の流れが悪く滞った状態 |
気虚(ききょ)タイプ | 栄養やエネルギーが不足することで身体が熱を産生する機能が弱った状態 |
水毒(すいどく)タイプ | 身体の水はけが悪く、体内に水分が滞っている状態 |
西洋医学的にみた冷え症のタイプ
一般的に会話などで使われる症状が多いのが西洋医学的にみた冷え症のタイプです。
タイプ | 主な状態 |
末端冷え性タイプ | 手足の末端に冷えを感じる典型的な症状。運動不足や食生活の乱れている人に多い |
内臓冷え性タイプ | 下半身の冷えを主に感じ、胃腸の不調が起こりやすい。筋肉の少ない細身の人に多い |
全身冷え性タイプ | 平熱が低く、年中冷えを感じる。重篤な病気に繋がる危険性のある重度の冷え性 |
冷え症の改善策
冷え性を解消するためには表面的に温めるだけでは足りません。身体の芯から(内側から)温める必要があります。
即効性のある解消法はなく、食事・運動など継続的に日々の生活習慣を見直す必要があるのです。
冷え症に良い食事
根菜類や発酵食品が特におススメです。ご参考ください。
- かぼちゃ
- ゴボウ
- 生姜
- ニンジン
- 唐辛子
- みそ
- しょうゆ
などがよく効果的と言われます。その他にも
- 鮭
- マグロ
- サバ
- イワシ
などの魚類もおすすめです。
冷え症に良い飲み物
- 紅茶
- ほうじ茶
- ウーロン茶
- 赤ワイン
- 日本酒
などが特に効果が高いと言われています。
寒い時期にホットコーヒーを飲む方が多いですが、実はコーヒーは身体を冷やす飲み物です(暖かい地域での収穫が主なため)。
冷え性に良い食生活
- 朝食を抜かない
- 毎日の食事(3食)の時間を揃える
事も非常に大切です。当たり前ですが、人の体は食べたものでできています。
食生活が不規則になると、自律神経が乱れ体温調節が狂い、冷え症を感じやすくなります。
冷え症にいい運動(セルフケア)
継続的に行える運動が望ましいため、ウォーキングやストレッチがおススメです。
ウォーキング
最も簡単な有酸素運動。30分を目安に行うことで血行促進、基礎代謝の上昇を期待できる
ストレッチ
家の中でリラックスしながら行えるセルフケアの定番。10秒かけて息を吐きながら反動をつけずにゆっくり伸ばします(※反動をつけて無理やり伸ばすのはNG)。柔軟性up、血行促進が期待できます。
冷え症に効くツボ
三陰交(さんいんこう)
場所:足の内くるぶしの頂点から指4本分上の場所で脛(すね)の骨の内側にある凹んだところ
効果:「女性のツボ」とも呼ばれ、冷え以外にも生理痛など婦人科疾患にも効果的
関元(かんげん)
場所:おへそから指4本分下にいったところ
効果:丹田と呼ばれる場所で「気を整えるツボ」。全身の調子を整える
陽池(ようち)
場所:手の甲側の手首の真ん中にあるツボ。手首を反らせた時にできるシワの真ん中辺りにある凹んだところ
効果:身体を芯から温める
まとめ(まずやって欲しいこと)
冷え症は個人の努力や意識で改善できます。
まずはご自身の体温を計る習慣が大切です。36.5℃以下の方は、まず日常生活を見直しご自身の体温上昇を目指してください。